太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

疲れと新宿への限界と豚ヒレ肉。

土曜日の話。

 

社会人を10年以上続けているが、通勤⇒仕事⇒残業⇒通勤のコンボを5日も続けていると、金曜日の夜にはすっかりヘロヘロになっている。去年の春に引っ越して通勤時間が長くなったせいなのか、それとも30代も半ばになってきていろいろなところにガタがきいているのか、それとも花粉で鼻の穴がずっとムズムズしているせいなのか。

もともと体力には自信があり、おそらく同年代のおっさんと比べると運動だってやってるし、体脂肪や肝臓の数値や血糖値や血圧などなどは良好な数値をキープできているはずなのだが、気づけばヘロヘロになっているのだ。金曜日の夜にお酒を飲んで寝て、土曜日の朝に目が覚めるものの、身体がどんよりと疲れを溜め込んでいるような感じがする。(おじさんなので昼までは寝れない。目は覚める)

 

しかしそこで疲れたからといって昼までゴロゴロしていても体力増進に繋がらないと思い、今週も元気にジムに通う。2時間弱ほど筋トレとランニング。汗をかいてシャワーを浴びて、どんよりとした疲れがハツラツとした疲れに変換される。等価交換というか、総量はむしろ増えて、疲れの種類だけが変わった感じだ。そりゃそうか。

 

ハツラツとした疲れを全身に抱えたまま電車で新宿へ。久しぶりに春夏用のスーツをオーダーしようと思って予約していたのだ。オーダーといってもパターンオーダーなのでそこまで高価ではない。数年間仕事着として着ることを考えると必要経費だろう。

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今回はライトグレーの軽めの生地でイタリア風の少し遊んだスーツと、ネイビーの生地でイギリス風のかっちりしたスーツの二着を発注。僕はスーツのスタイルに関して、以前お世話になっていた役員の影響を強く受けている。

 

もともと僕が就職活動をしていた際にも面接していただいた方で、その後いくつかの部署を経て、その方が辞める直前の2年間ほど、直属の役員として同じ部署で働いていたのだ。無精髭にウェーブのかかった白髪混じりの長髪をオールバックに撫で付けており、いつもパリッとしたスーツにポケットチーフを差し、ピカピカに磨かれた革靴を鳴らして歩く、ダンディズムを形にしたようなカッコいいおっさんであった。

系統としてはリリー・フランキーやライムスターのMummy-Dのようなタイプのイケメンおじさんである。身長が低く、手足も短めの体型なのだが、その人が着こなすテーパードの効いたスラックスや、イタリア風のリラックス感のあるジャケットの着こなしがとても格好が良く、自然と影響を受けてしまったのだ。

 

今回のスーツも役員のスタイルを真似て、タック入りでテーパードを強めに効かせたパンツに、もろもろこだわりの小細工を入れたジャケットでオーダーしてみた。スタイリストさんと色々相談しながら細部を決めていくのが楽しい。1時間半ほどかけて発注完了。なんだか満足度の高い疲れである。

 

お昼過ぎに奥さんと新宿駅で合流。新宿駅の東口から南に進んだあたり、甲州街道のガード下に不思議なフードコートのような飲み屋のような施設がOPENしていたのでそこでランチにする。

sanagi.tokyo

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店内のランタンと靴下が予期せずにコラボレーションしていた。

 

店内にはコタツ席もあってなんだか不思議な空間。アジアの屋台村と、映画やアニメの中のネオトーキョーをミックスしたようなキッチュな雰囲気。「若者ってこういう雰囲気好きでしょ?」というデザイナーやプロデューサーの意識が見え隠れするが、実際ににぎわっているので良いのだろう。味は普通。

 

5年ほど前までは阿佐ヶ谷に住んでいたし、営業エリアも新宿渋谷だったので、新宿はそれこそ毎週のように歩いていたなじみの街だ。ただ、数年間足が遠のいている間にどんどん進化している。その5年間の間に、南口にNEWoMan(なんて読むのかまだわからない)が出来てバスタ新宿が出来て、永遠に工事しているように見えた新宿駅甲州街道沿いがすっかり変わってしまった。

渋谷駅も永遠に工事しているように見えるが、今まさに新しいビルがどんどん建っており、あと数年で完成するのだろう。13年前に広島の片田舎から上京してきたおのぼりさんだったが、10数年も住むと、東京の街の歴史を語るようになるのだ。東京の歴史は地方から出てきた人達でできている。

 

奥さんが新宿のルミネで買い物したいとのことだったので付いていったが、若者でごった返しており、2フロア回っただけでお互いに疲れてしまって早々に退散する。20代に飲み歩き遊んだ新宿は、もうぼくらの街ではないのかもしれない。

 

奥さんはせっかく出てきたからと勝手知ったる横浜で買い物へ。ぼくは疲労がまたどんよりと溜まってきていたので、早めに帰って料理でもやることにする。近くのスーパーで食材を買い、常備菜を2品ほどと、豚ヒレ肉が安かったのでハーブと塩コショウ、オリーブオイルでマリネにして低温調理。60度で90分。


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箸で切れるくらいしっとり柔らかに出来て満足。脂身も少ないのであっさりして良い。のんびり料理をして、どんよりした疲れがややさわやかな疲れに変わる。

 

新宿で目をキラキラさせながら歩いていた22才のぼくからは想像できなかったが、疲れで買い物を切り上げて、家で家族の料理を作ることに癒されるおじさんになったのだ。これはこれでよいではないか。新宿はぼくの街ではない。しかし今は横浜郊外がぼくの街なのだ。