太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

ヨットレースと鯛の骨身を味わう『さしつけ鍋』。

日曜日の話。

 

朝からよく晴れた中でヨットレース。冬の間にマストを付け替えて、デッキもすべて塗りなおして、今シーズン初のクラブレース。朝一番に海に出た際は冷たい北風がビュンビュン吹き荒れていたのだが、レース開始の11時頃にはだいぶ落ち着いてきており、得意の軽風の中でレースを楽しむことが出来た。

 

下の写真は、フィニッシュして後ろを振り返ったところ。

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クルーザーのレースの場合、大小さまざまな船が一緒になってレースをするため、単純な順位で勝負を付けるのではなく、スタートからフィニッシュにかかった時間に、船の性能に合わせたハンディキャップを掛け合わせて修正タイムを作り、その順位で勝負を決める形となっている。僕らの船は今回出場している船の中では一番小さくスピードも出ないため、通常であれば最後尾あたりでフィニッシュしていることが多いのだ。

しかし、今回は得意な軽風で風がコロコロと変わるトリッキーなコンディションだったこともあり、船自体の軽さを活かしてチョコチョコと動き回って、20艇強の参加艇の中で3番くらいでフィニッシュすることが出来た。上出来である。

 

今回参加しているヨットで最大のものは全長12メートル強、重さ約8トンで、12名くらいのメンバーを載せている。それに対して僕らのチームは全長6メートル半、重さ1トンで、大型観光バスと軽自動車くらいの差がある。そんな船同士が同じルールの下で対等にレースが出来るというのだから面白い。僕らの船は小さくて小回りがきき、加速が早いが減速も早いという、マリオカートで言うところのキノピオのような船だ。軽風や変化の多いコンディションにはめっぽう強いが、強風や高波にはかなり弱い。そのあたりも考えつつ勝負していくのが面白いところでもあるのだ。

 

ヨットレースは昨年11月ぶりで久々だったが、初戦に良い滑り出しが出来た。気持ちの良い日差しをたっぷりと浴びてのセーリングにも大満足。

 

しかしその満足だけで休日を終えてはならない。休日の料理長として晩飯を作るというミッションが残っているのだ。とりあえず帰りにスーパーに寄って買出し。冷蔵庫には、先週購入した水菜と白菜が瀕死の状態で横たわっていたので、彼らの消費を第一優先とする。そして、にんじんとナスが安かったのと、鯛のアラと刺身用のブリが売っていたのでそれらを軸に献立を組み立てる。帰宅してシャワーを浴びて花粉を落としてから、作り置きと晩飯の準備。 

 

まず、鯛のアラに塩を振って放置⇒熱湯をかけて臭みを流してグリルで焼く。肋骨まわりのアラにはびっしりと脂肪とゼラチン質がついている。 この塩焼きだけで日本酒が飲めそうだ。香りがたまらん。

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火が通ったアラまわりの身をほぐして、細切りにしたニンジンと、酒、塩コショウで炒める。鯛ニンジンしりしり。通常、ニンジンしりしりは玉子やシーチキンを使うことが多いが、鯛のほぐし身を使うことでなんだか上品な味。

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作り置き用にもう2品。 ナスを2本分輪切りにして、オリーブオイルで焼く。醤油と酢に生姜の細切りを入れたタレに浸してナスのソテーの完成。あとは弁当用に低温調理の鶏ハムを作っておく。最近は鶏がらスープ+塩+葱の青いところでカオマンガイ風にするのが好み。蛇足みたいだが、淡白な鶏ハムに鶏がらの旨味をドーピングするのだ。

 

 

そして今回の晩酌のメインは『さしつけ鍋』

九州天草の郷土料理だそうだが、隣の佐賀県出身の僕も最近になるまで知らなかった。

 

魚のアラと砂糖、醤油で濃い目の出汁をつくり、そこに刺身をつけて食べるしゃぶしゃぶとすき焼きと寄せ鍋の間のような料理だそうだ。通常、魚介のしゃぶしゃぶは昆布などの出汁で湯通しして、ポン酢で食べるものが多いが、アラで取った甘辛い汁でしゃぶしゃぶにするというのが変わっている。こちらは、過剰な料理ばかり作っている小林銅蟲氏のブログで以前紹介されており、頭の片隅に残っていたのだ。

 

negineesan.hatenablog.com

 

鯛のアラは200円のパックに上の写真の3倍くらいの量が入っていたので、残りをグリルでしっかり焼く。そして昆布で取った出汁と合わせて、小鍋でネギの青い部分と煮て濃厚なスープを作る。臭みも無く、軽く塩と醤油を入れただけで反則的に美味い。上品なのだが、強力なアミノ酸を感じる。腐っても鯛。アラでも鯛。肉は骨のまわりが一番美味いのだ。

 

あとは白菜、水菜、ぶなしめじ、焼き豆腐を準備し、柵で売っていたブリの刺身を薄切りにする。完成。

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養殖もののブリで、多少脂が乗りすぎている気がしたが、水菜などと一緒にしゃぶしゃぶにして食べると口の中でふわっとほどけて最高だ。口の中が鯛とブリと昆布の舞い踊りである。前述のブログでも紹介されているが、柚子胡椒を付けても最高に美味い。ビールを早々に済ませて、これは日本酒であろう。先週末に購入した日本酒『阿櫻』ともバッチリ合う。自宅居酒屋の新しい次元だ。

 

そしてこの鍋のすごいところは、濃厚な鯛と昆布の出汁に、ブリの脂が溶け出して、どんどんとスープが育っていくところにある。このスープをタンブラーに入れて仕事中に飲みたい。疲れたときに浴びたい。スープの中でたゆたいたい。

このスープを楽しむためには、一番は雑炊であろう。一滴も残すことなく味わい尽くしたい。

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滋養に満ちた味。すっかり満腹満足。部屋中が料亭のような匂いがしている。

 

もともとはサバなんかでも作られているそうなので、今度は脂の乗ったサバでチャレンジしてみよう。