先週金曜日、のっぴきならない事情があり、2週間ぶりに出社して仕事をしてみた。家でも会社でも仕事の進み具合は変わらない印象。やることは多かったので21時半くらいまで残業して帰る。
ちなみにうちの会社は東京の繁華街近くの地下鉄駅が最寄なのだが、夜の人通りが少なすぎて驚く。これでまだ21時過ぎである。 いつもは駅前に呼び込みのおにいちゃんが何人もいて声をかけてくるのだが、御覧のとおりガラガラである。
感覚的には、終電を逃してしかも店も弊店になった午前3時くらいの印象だ。若手社員のころはよく終電を逃して漫画喫茶にお世話になっていたので、なんだか懐かしいような変な感じである。
ナイトクラブは強烈な自粛要請の対象であり、皆が不要不急の外出を控えているのでいいことだとは思うが、こういった飲食店や夜の店に毎月家賃という固定費がかかってくることを考えると可哀そうな話である。関係者の皆さまはいつ廃業せざるを得ないか、気が気じゃないと思う。
居酒屋などもテイクアウトや弁当でなんとか売上を立てようとしているだろうが、ビジネス街も繁華街も人通りはほとんどないので買う人もいない。かつキャバクラやバーなどは別途で売上を立てる手段もなく地獄のような日々だろう。
リモートであれ、普通に仕事ができているこの現状を幸せに感じるしかないのかもな。
さて、先週土曜日のはなし。
娘が寝たタイミングで、また一人で散歩に出る。
30分ほど歩いたところにある公園。テニスコートや野球場はすべて封鎖されていたが、こいのぼりは春の風に気持ちよさそうに泳いでいた。
帰宅してひるめし。
野菜が半端に余っていたので焼きそばにしてみる。焼きそばなんて何年ぶりだろうか。ジャンクでチープな粉末ソースの味がたまらない。
うまいうまいと数分で間食。ひるめしは簡単な麺類というのがルーチン化してきている。時短メシ。
午後は娘と遊んだり、AmazonPrimeで映画を観たり。
今回はジムキャリー主演の名作『トゥルーマン・ショー』。1998年の映画なのでもう22年も前なのか。 たしか高校生か大学生くらいの時に一度鑑賞しており、そこそこ面白かったが傑作ではないなという印象だった。
しかしこの自粛自粛の中で鑑賞するとまたちょっと印象が違う。生まれたときからずっとリアリティショーの主人公として全世界に中継され続けており、世界そのものが大掛かりなドラマのセットの中で用意されたシナリオの上で生活している主人公。
周囲への違和感からその事実に気付き、カメラの前から脱出。最後は箱庭のようになったセットの果て、ハリボテのような壁にあるドアから外の世界に飛び出していく。そこにこの閉塞感にまみれた自分を投影して応援してしまう。
今の現状は作られた自粛であり、別に足かせが付いているわけでも、ドアがロックされているわけでもない。ただ世の中の空気のようなものに自粛を要請されており、そこに従って小さな我慢を続けながら生活しているのだ。リアルな生活が雰囲気を一変させる中で、こんな突拍子もないSFコメディを見て、なんとなしに共通点を見出してしまった。
さてばんめし。
本日は和食で行きましょう。
春菊が余っていたので胡麻和えにして、長芋とオクラを刻んでポン酢とかつおぶしをかけておく。
メインは豚の角煮。普段は豚バラ肉で作るのだが、安かったので肩ロースの塊肉で作ってみた。フライパンで焼いて生姜とネギと圧力鍋で高圧15分。洗ってアクを取ってから茹で卵、大根、人参を入れて、醤油酒みりんで味を整えて高圧で10分。
トロトロの脂を楽しむ角煮ではなく、肉のホロホロ加減と野菜のしみしみ加減を楽しむ角煮となった。味付けも野菜に合わせて薄めにしたのが正解である。
このメニューでゆるゆるとお酒を飲みつつ、締めご飯も作って行こう。
鯛のアラを買って、半分は塩焼き、半分はあら汁にする。塩焼きのアラをほぐして、醤油胡麻刻んだ大葉とあえて鯛めしにする。
うーむ美味い。自炊を制するものは自粛を制す。何となくそう思った幸せな食卓。