最近、マインドフルネスというものに興味がある。
以前からその存在は知っていたものの、興味をもったきっかけとしては、ユヴァル・ノア・ハラリの『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』という本だ。
ユヴァル・ノア・ハラリは、名著『サピエンス全史』でホモサピエンスがなぜここまで発展したのかについて、『ホモ・デウス』では今後の人類がどのような世界を作って進化していくのかについて、考古学、歴史学、生物学、社会学、情報科学など、幅広い視点と圧倒的な知識で解き明かしている現代の賢人である。
その賢人が、いま現在の社会や人間の課題や考えるべき点について、21のテーマで書いたのがこの本である。自由、平等、テロ、戦争、ナショナリズム、教育など、いろんな課題が紹介されている。どちらかというと既存の価値観の問題点を指摘していくような内容が多い本書で、最後を締めくくるテーマが「瞑想」だったのだ。
ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、2000年にヴィパッサナー瞑想を学んで以来、毎日2時間の瞑想を欠かさず、圧倒的な明晰さと集中力をもってこれまでの作品を生み出してきたそうだ。それは興味深い。
これまでは、「瞑想」や「マインドフルネス」というものに対して、半分怪しげなものという先入観を持っていたが、集中力と明晰さを得るためのトレーニングとして、ちょっと学んでみてもいいのでは?と思ってきたのだ。
というのも、ここ数年で集中力があきらかに落ちてきたような実感があり、ちょっと困っているのだ。
特に、多少難解な本を読んでいる時に集中力が続かなかったり、あとはネットのニュースや記事を読んでいる際に、無意識に飛ばし読みをして目が滑ってしまうことが多くなってきたのだ。
おそらく、毎日たっぷりと浴びているインターネットや日々眺めているスマートフォンの影響なのは間違いないだろう。(という文章を現在インターネットにのブラウザに向かって書いて、インターネットで公開しようとしているのだから皮肉である)
1日のうちかなりの時間で細切れの情報をジャブジャブ浴びるようになっており、情報を処理する余力がどんどんと消費されていっているような気がするのだ。しかもその情報はそこまで重要なものではなく、ほぼ無価値な情報だったりする。これではいけない。
これまでは、喫茶店でノートを開いて頭に浮かんだ文章をつらつらと書くことでリセットされていた部分はあったのだが、今は自粛自粛で喫茶店にも行けず、かつ自宅でずっとPCのモニターに向かって仕事をしており気分転換もままならないため、頭をクリアにする方法を探していたのもある。
取り急ぎ、以下の本を購入して、マインドフルネスというものがどんなものなのかを学んでいる。
サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
- 作者:チャディー・メン・タン,ダニエル・ゴールマン(序文)
- 発売日: 2016/05/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
マインドフルネスというものは、簡単に言うと、現在のありのままの状態に意識を置いて常に集中している状態だそうだ。
これまでは、瞑想というとなんとなく「無心」ということなのかなと思っていたのだが、自身の呼吸や体の状態に常に集中することが重要なのだそうだ。その他の雑念が起きても集中に戻して、呼吸や体の状態を意識し続けていることが大事らしい。まさに「マインド」が「フルネス」ということなのか。なるほど。興味深い。
これまで、自分の頭をクリアにするためには、どちらかというと集中しないことをやってきていた気がする。
音楽やラジオを聴きながら散歩したり、料理したり、ドライブしたりと、なるべく何も考えない時間を作ることでリフレッシュさせていた。
集中というよりは、何も考えずに情報を通過させたり、半ば自動的に体を動かすことで、頭の中にたまったオリのようなものを洗い流していくようなイメージである。これまではどちらかというとそっちを重視していた。マインドフルネスとは逆の考え方かもしれない。
頭を空っぽにして明晰さを得るアプローチと、全てを意識的にして雑念を減らして明晰さを得るアプローチ。どちらもコントロールできると良いのかもしれないな。
以前も書いたが、自分の身体や頭を意識的にコントロールしておきたいとは常々思っているので、もう少し調べて自分なりに実践してみようか。