太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

日記欲を刺激される。

たまに、日記欲というものがむくむくと湧いてくる。特に他人の面白い日記を読んだ際に、自分も書きたい!とむくむくと湧いてくるのだ。

 

気の利いたエッセイではない。テーマを決めたコラムでもない。あくまで日記だ。ほぼ自分のための自分の生活の記録。それをほんの少しの好意と好奇心とビジネス的な契約でインターネット上のBlogやnoteで公開されていたり、書籍として発売されていたりするわけだ。ぼくら一般の読者はそれをたまたま閲覧させていただいているわけだ。

 

 

日記欲をくすぐられる日記たち。

 

◆古賀ちかこさん『まばたきをする体』

mabatakiwosurukarada.hatenablog.com

僕が敬愛するインターネット読み物サイト「デイリーポータルZ」編集部の古賀及子さんの日記ブログである。

家族との平穏な日々の出来事を綴っているのだが、一つひとつの小さなエピソードの中で子供たちの新鮮な視点、驚きや発見、生活の中でのおもしろポイントなどが急にフォーカスされて描かれておりハッとする。ただの出来事の羅列ではなく、急に生活の解像度が上がっていき、何らかの感情を揺さぶられるのだ。

ただ、それはあっという間に終わり、あっさりと終了する。だって日記だもの。 そして気づけば次のページを読みたくなる。うまいなぁ。

 

宮田珠己さん『スットコランド日記』 

スットコランド日記 (幻冬舎文庫)

スットコランド日記 (幻冬舎文庫)

  • 作者:宮田 珠己
  • 発売日: 2013/12/05
  • メディア: 文庫

 旅行エッセイスト?のタマキングこと宮田珠己さん。海外や国内をぶらぶらと旅行した際のユニークなエピソードと唯一無二のバカバカしい文体が素敵。ベトナムの盆栽について1冊書いたり、巨大仏について1冊書いたり、シュノーケルについて1冊書いたり、ジェットコースターについて1冊書いたりとジャンルが幅広すぎる。

そんな宮田さんの日記。引っ越した家からの眺めがどこかスコットランドみたいだと思って、「スットコランド」と呼んだのがタイトルの由来。毎日原稿が書けない金がないとつぶやきつつ、ユーモアとペーソスにまみれた日々がとても素敵。

 

いしいしんじいしいしんじごはん日記』 

いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)

いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)

 おとぎ話のようなどこか不思議な世界観の小説を書いているいしいしんじさんの日記。都内に暮らしていたいしいさんが、とある縁から三浦半島の三崎に引っ越して、地域の人と交流しながら、三崎の暮らしを満喫していく様子が、毎日の丁寧な食事とともに綴られている。細かいメニューや作り方などではなく、あくまでその日に何を作って食べたかというだけの記載なのだが、日々新鮮な魚を手に入れてはお刺身や鍋、フライなどと料理しており、なんともおなかが空いてくる。そして僕も港町に暮らしたくなる。

 

 

このあたりのBlogや作品を読むと日記欲がむくむくと湧いてくる。そしてとても楽しい。大きな事件は起こらず、目を見張る展開なんかも無い。しかし生活の中でのふとした感動や心の揺らぎ、日常であるがゆえの楽しさみたいなものが垣間見えて楽しくなってくるのだ。

 

ぼくもそんな日記書きになりたいものだ。気づけばこの雑文書きを始めて丸2年が過ぎた。単なる日常の出来事の羅列ではなく、そこにある感情の揺らぎユーモア、ペーソスを描けるように今後も綴っていこう。