太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

スポーツと敬語。

中学高校大学とずっと体育会の部活をやってきて、今もセーリングというスポーツに関わっているものとしてなんとなく感じているのだが、スポーツと日本語ってあまり相性が良くないのではないだろうか。

 

セーリング、ヨット競技というスポーツは、高校や大学で新しいことををやってみたいという動機で入部する人が多い。

高校、大学で使われてる艇種はほとんどが二人乗りである。そうなると、どうしても経験を積んだ先輩と新人の後輩のペアで乗ることが多い。

 

2人乗りのヨットは、スキッパー(操舵者/船長)とクルー(乗組員)という役割分担になっている。一般的には、スキッパーは舵と一番大きなセールを操り船のスピードに集中する役割を担当する。クルーは前方の小さなセールを操り、艇のバランスを取りつつ、周囲を見回してコースをナビゲートするという役割である。

 

高校大学のほとんどの場合、経験に差がある2人が組むことが多く、経験のある先輩がスキッパーとなり艇のコントロールからナビゲーションまでほとんどをやり、慣れない後輩は言われた通りに動くのみというケースが多いのだ。

 

後輩のクルーが少しずつ慣れてくると、先輩に他の艇の状況を報告したり、波や風の変化を伝えたり、コースを相談したりするのだが、その際に敬語でちゃんと伝えようとすると、物凄くまどろっこしいのだ。

波や風の状況は刻一刻と変化しているし、他の艇が急に接近してきて避けなきゃいけない状況もある。丁寧な言い方なんかしてたらその分判断と対処が遅れてしまう。危険や怪我のリスクだって増えるだろう。

 

ヨットの動作に関する用語は基本的に英語がベースになっているのだが、強いチームは各種の動作指示を英語でやっていることが多い。その方が話が早くミスがないのだ。

 

他のスポーツだってそうだと思う。

サッカーでも「●●さん、前のスペースが空いてますよ!走ってください!」などとトップ選手が言っているだろうか。おそらく、どのスポーツでも、強いチームや強い選手は英語の単語単語と敬語抜きで意思疎通しているのではないだろうか。

 

そもそも日本語は文法的に動詞が最後に来るので迅速な指示には向いていないのかもしれない。

 

いっそのこと、スポーツのプレイ中の敬語は禁止してしまった方が良い。そして、日本語でやるにしても用語を決めて簡潔な指示ができるように工夫が必要な気がする。

 

ただ、僕が中学高校大学社会人と20年以上スポーツをやってきて、プレイ中の言葉(動作の用語の選択や敬語の有無など)について指摘したコーチや指導者は残念ながら1人もいなかったのだ。チームスポーツや部活をやる上で上下関係が大事なのはわかるが、それはプレイ外で尊重でも良いと思う。

 

プレイ中は少しでもコミュニケーションを迅速にして判断や対処を急ぐことが大事だし、敬語を無くすことで一人一人の選手が対等にプレイできるので、後輩だったとしても萎縮せずにのびのびプレイ出来るようになる気がする。

 

そんなことを考えていたのだが、日本でもスポーツを観戦し応援する際はなぜか皆さん敬語を使わず、簡潔な命令形で伝えることが多い。

 

「がんばれー!いけー!走れー!」などなど。

 

チームスポーツ内で敬語が抜けずに上手く出来ないというのは、単純に学校の部活動の閉鎖的な上下関係が原因で、それが文化として残っているだけなのかもしれないな。

 

部活でプレイ中の敬語禁止!とか決めているチームはあるのだろうか。絶対効果的だと思う。