太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

一夜城ヨロイヅカファーム。

日曜日のはなし。

奥さんと小田原にランチにいった話。

 

小田原の山の上に、有名なパティシエ「トシヨロイヅカ」のレストランがあるらしい。奥さんの友人が何組か行っていて評判も良かったので、ぼくらも行ってみた。

 

www.grand-patissier.info

 

ランチは11時15分と13時の2回転。コース料理のみで予約は必須だという。水曜日あたりに奥さんに電話してもらうと、運よく11時15分の回で空きがあるとのことで、朝から海沿いをドライブして小田原に向かった。

 

念のために時間に余裕をもって行ったのだが、渋滞もなくスイスイと1時間ほどで小田原に到着。空いた時間で小田原の漁港で干物とすり身のてんぷらを調達する。

夫婦で干物好きなのです。

 

さて、買い出しも済んだので小田原の一夜城跡に向けて狭くて急な坂道をぐりぐり登っていく。

 

一夜城跡。不思議な名前である。現在は石垣のみ残っており、続日本100名城に選出されているらしい。 

 

昔々に豊臣秀吉が小田原北条氏を攻め落とすため、2ヶ月以上こっそりと気づかれずに小田原の裏山に巨大な城を建てていたそうな。そして攻め入る直前に、城の周囲の木々を伐採しこけら落としをしたことで、小田原北条氏はびっくり仰天。一夜にして自分の陣地の裏山に巨大な敵の城ができているのではないか!と戦意を喪失したとの言い伝えから一夜城と呼ばれているそうだ。

 

実際は4万人を動員し80日(それでも凄い!)で建立されたそうだが、北条氏の本拠地であった小田原城からは直線距離で3キロくらいしか離れていない。そこで4万人がドッカンドッカン城を作っていたのでは普通気付くだろ!と思うのだが、実際のところは不明である。

 

 

そんな一夜城跡のすぐ横に、『一夜城ヨロイヅカファーム』がある。

 

一夜城に向かう道は狭くてかなり傾斜のきつい農道で、コンパクトカーだとべた踏みしないと登っていかないような道である。そんな道をしばらく走ると、急に空中庭園のように建物と整備された公園、駐車場が現れる。

 

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周囲が散策路も整備された果物畑になっており、敷地内で取れた野菜や果物を使ったケーキや料理が楽しめるカフェレストラン、地域の野菜を販売するマルシェが併設されている。

 

予約の時間まで余裕があったので、マルシェで地場の野菜と、ブランジェリーでパンを購入する。野菜は新鮮そのもので安い!

 

果実畑の散策路からは、相模湾も一望できる。素敵なロケーションである。

散策路には、ヨロイヅカさんの奥さんの故川島なお美さんのメッセージを写した石碑も飾ってあった。


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さて、時間になったのでランチを楽しもう。

 

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全部で10組くらいしか入らない小さな店で、ランチのコースをいただく。本日は鎧塚オーナーもいらっしゃるみたいで、各テーブルで挨拶されていた。

 

小前菜(アミューズ
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ブルーチーズと大葉?のリゾット。ほんの一口程度だが、チーズの香りが強くて美味い。

 

前菜(オードブル)

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手前から時計回りに
・豚肉のリエット 
・サーモンのコンフィ 
・ブリのカルパッチョ
・プロシュート
・夏野菜のサラダ+ロースト

ひとつひとつにソースや香りのついた塩が添えられており、上品で美味い。特にサーモンのコンフィが口でとろける独特の食感だった。おそらく50度くらいの低温調理でミキュイ(半生調理)にしたのではなかろうか。美味い。

 

美味いものをちょっとずつ食べるというのは豊かなものだ。ひとつひとつをゆっくり味わって細かな味の違いを楽しめる。洗練された文化と知性を感じる。
前日の「肉を頬張ってワインで流し込む」というパワー系の食事とは間逆である。今回は僕も車なので当然ノンアルコールなのだが、お酒を飲まないと一つひとつの料理に集中出来て良い。記憶にもしっかり残る。

 

スープ
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バターナッツかぼちゃの冷製ポタージュ。上にエスプレッソの泡が乗っている。最初はほんのりエスプレッソの香りとかぼちゃの甘みを楽しんで、最後にちょっと泡の苦味で締めるのが楽しい。

 

ここで焼きたてのパンも配られる。

米粉のもっちりとしたプレーンのパン、バジルを練りこんだパン、細かく刻んだベーコンが入った食事パンの3種類。

ここはベーカリーも併設されているのだが、これもしっかり美味い。

 

 メインの肉料理

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牛ホホ肉の赤ワイン煮込み。夏野菜添え。圧力鍋でホロホロに煮込まれている。肉の下にはマッシュポテトが敷かれており、肉とソースと一緒に食うと豪華に美味い。ただ、圧力鍋で煮込んでいるためほんの少しソースが若いような気がした。

 

メインの料理とデザートは選べるのだが、奥さんが選んだ鳥もも肉のコンフィを少しシェアささて頂いたところ、これが絶品だった。コンフィは温度を上げすぎて一部パサパサになってしまう店もあるが、ジューシーでホロリとほどける煮込み具合で、これまでに食べたコンフィで一番だったかもしれない。

 

シャーベット(ソルベ)

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グレープフルーツとバジルを合わせたシャーベット。バジルをデザートに入れるとは面白い。肉料理の後に気分もサッパリする。

 

デザート(デセール)

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ココナッツミルクのアイスとケーキの盛り合わせ。真ん中の一夜城ロールケーキがもっちりふわふわで最高だった。クリームもびっくりするくらいなめらかで軽い。どうやってこんなの作るんだ。さすがトシヨロイヅカである。

 

ランチコースで3600円だったが、内容、味も大満足だった。

 

 

当日、奥さんのお母さんがちょうど誕生日だったので、食後にパティスリーでホールケーキを買って帰ったのだが、ここでも鎧塚オーナーがドアの前に立って一人一人にご案内とお見送りをされていた。

 

日本トップクラスのパティシエだろうに、すごく丁寧な接客をされる方で少し感動してしまった。

 

お菓子作りという世界で国内有数の名声を得るというだけでも相当な努力と研鑽を続けられたのだろう。それだけに留まらず、自分の理想のお菓子作りのために何もない田舎の山の上に地産地消のレストランを建てて、ちゃんとそこで一人一人のお客さんに目を配って丁寧に接客までされているとは。

 

正直、お菓子の世界には全く詳しくなかったので、有名店のオーナーで、半分芸能人化しているようなパティシエなのかなというイメージだけ持っていたのだが、その浅はかな考えを反省した。

 

凄い人だ。

 

 

夕方、奥さんの実家にケーキを届け、一緒に食べたのだが、ホールのケーキもびっくりするくらいにクリームとスポンジがなめらかで上品で美味だった。

表現が難しいのだが、他の店のケーキの半分程度の硬さしかない。口に入れるとスポンジケーキごとふわっと溶けて消えてしまうのだ。なんだこれは。初めて食った。

これが有名店の技か、と恐れ入る。

 

 

先にケーキを頂いたので、夜は軽めにパンとサラダとワイン。

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軽めにと思っていたら、結局昼間買ったパンも美味すぎてほとんど食べてしまった。昼から食べ過ぎだな。