太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

魚を捌く誕生日。

先週の平日夜。我が家に大量の鮮魚が届く。

 

両手で抱えるくらいの発泡スチロールにギチギチに詰まった魚たち。

 

やあ。

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何匹かは活〆にしてあるのか、首をバッサリ折られていたり、尾びれの付け根に切れ込みが入れてある。つい先日まで相模湾を泳いでいただろうに、無念そうである。死んだ魚のような目をして見つめてくる。死んだ魚だった。

 

冒頭にも書いたが、思いっきり平日である。当然、夜まで普通に仕事である。

 

そしてその日は、偶然にも僕の誕生日でもあった。 別に、誕生日プレゼントで貰ったわけではない。そうだとしても誕生日に鮮魚詰め合わせはさすがにどうかと思うぞ。

 

クール便で丸魚が9尾。頭も内臓もしっかりついている。なんならちょっとお尻から出てる個体もある。

 

自分で注文したものの、まさかこのタイミングで届くとは思っていなかった。もともと、お盆休みに魚を捌いて寿司にしてみるかと茅ヶ崎の魚屋に鮮魚の詰め合わせをネットで注文していたのだが、9日もあった連休では一向に届かず、なんと連休明けに届いてしまったのだ。

 

奥さんは魚を捌けないので、僕が捌くしかないだろう。今晩のうちに頭と内臓を取って三枚におろすくらいの下ごしらえはやっておかないとどんどん鮮度が落ちてしまう。やるしかないか。


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相模湾のお任せ地魚セット。ワカシ(ブリの幼魚)、スズキ、イシガキダイ、マゴチ、メジナ、イシモチ×2、小さめのホウボウ×2。ちゃんとレシピ案もつけてくれるところが素敵である。これで3000円。結構安いのではないだろうか。

 

アジやサバであれば捌けるので、ワカシやスズキはなんとなくやれそうな気がする。サイズが違うだけだ。マゴチやイシガキダイなんかはどうやって捌けば良いのだ。若干途方に暮れつつも、このままでは深夜になってしまうので、ネットで検索してとりあえずやっつけていく。多少下手でもどうにかなるだろう。

 

魚を捌くのは面倒だが楽しい。生き物が食材になっていくプロセスを体感できる。また、魚の体のつくりがそれぞれ違っており興味深い。筋肉の質感、鱗の付き方、ヒレの付き方、大きさ、口の形、内臓の形やサイズなどそれぞれの生態によって進化してきたのだろう。そんなことを考えながら捌くのは楽しい。

 

さすがに全部を僕と奥さんで食べきるのは大変なので、メジナとイシモチだけ鱗と内臓を取り、近所に住んでいる奥さんの実家とお姉さんの家にお裾分けさせていただいた。残りを3日かけて調理してみた。

 

初日の食卓。

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ワカシのお刺身。半身分。小さいし旬でもないのでそこまで脂は乗っていない。でもクセがなく美味い。若干水っぽいので、塩をふるか、少し寝かせたほうが美味いかも。九州人なので甘い醤油で食べる。


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マゴチのお刺身。半身分。上品な白身でプリプリして美味い。これは醤油じゃなくてポン酢ですね。


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マゴチとスズキの煮付け。マゴチは身に弾力があり、プリプリである。腹身も脂が乗っており美味い。スズキはほんの少し川魚のような風味があるので、もう少し濃い目の味付けか生姜を効かせた方がよかったかも。


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奥さんも何品か用意してくれていたので、平日夜にいきなり豪華なばんめしとなった。下ごしらえに時間がかかり、食卓についたのが22時半。もうすぐ誕生日が終わってしまう。新鮮な魚を食べ、ビールを飲み、日本酒を飲み、最後にマゴチのアラを使った潮汁でお茶漬けにして締める。

 

2日目の食卓。

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小さめのホウボウを、奥さんにアクアパッツァにしてもらう。カサゴの一種なので良い出汁がでる。アサリの旨味とホウボウの出汁でスープが最高に美味い。汁気を多めにして最後パスタにすれば良かった。


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スズキのバター醤油ソテー。スズキはこっちの方が皮身の臭みが気にならず美味いかも。隣はイシガキダイの半身を昆布締めにしたもの。鯛のようなピンクの血合が綺麗である。水分が抜けてむっちりとしており、旨味も強くなっている。


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和洋入り乱れて、ちぐはぐな食卓になってしまった。魚を消費することにいっぱいいっぱいになっている。まだまだである。

 

3日目。

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ワカシの昆布締め。もともと脂の乗りが弱かったので昆布で旨味を足してあげるといい感じ。昆布の味もしっかり乗っており、むっちりして美味い。


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イシガキダイの煮付け。上品な白身だが脂が乗っている。皮まわりのゼラチン質もプルプルで美味い。

 

と、3日間かけて相模湾の地魚を堪能した。鮮魚の詰め合わせ、なかなか良いではないか。ひとつも傷ませることなく食べきることができ、なんだか経験値を積んだような気がする。また余裕があればまた注文してみようかな。魚は美味い。

 

 

 

 

さて、完全に余談であるが、今回魚が届いたタイミングはもう一つの意味で最悪だった。

今回鮮魚が届いたのが生ごみを出す日の夜だったので、9匹分の大量の魚の内臓やアラが4日間捨てられないという強烈な状況になってしまったのだ。ゴミ袋を二重三重にして、蓋つきのごみ箱に入れていたのだが、この猛暑の中、翌日くらいから強烈な異臭を放ちだしていた。

 

たまらずゴミ箱ごとベランダに出していたが、35度を超える炎天下のベランダで放置熟成されたブツは、次回の生ごみの日にはバイオテロ兵器のようになってしまっていた。危険。ゴミ箱にも強烈な臭いが染みついてしまっており、なんど漂白しても落ちず、結局買い替えることにした。魚を楽しむ際は、生ごみの日の前日にしないと危険である。学び。