太陽の下で笑う。

うまいものはうまい。

函館松前旅行記その2。

さて、前回の続きで2日目。

 

お祖父さんの三回忌。

お祖父さん(奥さんの父方の祖父)は函館から西に60~70キロほど進んだ北海道の最南端、松前にお住まいだった。ずいぶん前に奥さんを亡くされたようで、その後は一人暮らしだったらしい。奥さんはおじいちゃん子で、大人になってからも新幹線に乗ってお祖父さんの家に泊まりに行ったりしていたらしい。

 

奥さんと僕は2018年の春に結婚式を挙げたのだが、お祖父さんは高齢でかつご病気されていたこともあり、横浜での挙式にはお呼びすることができなかった。そこで、その年の夏、結婚式のムービーが納品されたタイミングで結婚式のご報告に行ってきた。

 

津軽海峡を望む海沿いの小さな集落にある、壁がオレンジ色の平屋。整頓好きなのか、あまり物のないシンプルな家の中で、家族や孫、ひ孫たちの写真が壁いっぱいに貼られていたのが印象的だった。持参したPCで結婚式の動画を見せると、涙を流して喜んでくれた。そして、ウニやアワビを贅沢に使ったごはんをご馳走してくれた。この時に食べた塩水ウニが多分人生で一番美味しかったウニだった。

 

その後、一度だけ手術の関係で横浜にいらっしゃったことがあり、赤ちゃんだった娘を抱っこしてもらった。そして2年前に他界されたのだが、その際はコロナもあり、奥さんの両親と、近くに住む親戚だけで法要を終えられており、奥さんも僕も参列できていなかった。そしてコロナ禍が終わり、今回ようやく法事に参加することができた。

 

松前までは宿泊していた函館からレンタカーで2時間程度。海沿いの一本道をひたすら西へ。まずは近くに住むおばあちゃん(こちらは奥さんの母方の祖母)のところに行って、先に北海道入りしていたお義母さんと合流する。

 

その後、義父母、お義姉さん家族、僕ら家族でお祖父さんの家の近くのお堂に移動し、お坊さんや地域の世話役さんにも来てもらい、三回忌の法要を行う。

 

常勤のお坊さんのいるお寺ではなく、地域で法要がある際に使っているらしいお堂のような施設だったが、なんとも迫力のある場所だった。

 

海に面した場所で暴風雪を防ぐためか、平屋の公民館のような建物の周りを真っ黒な焼き板の塀でぐるりと囲ってあり、お寺っぽさが全くない。引き戸を開けて入ると正面に本堂があり、壁には地域の人たちの位牌が並べられていたりするのでお寺なんだとわかるが、はじめは何の施設なんだと不思議な感じだった。そして敷地内の地面はなぜか古いカーペットのような布がまばらに敷き詰められており、大小の岩やコンクリートの破片で飛ばないように押さえられていた。隣には崩れかけた小屋まである。海からの湿った風がびゅうびゅう吹きつけている。僕が知っているお寺の概念とは全く違っていた。

 

なんというか、絢爛豪華な寺社仏閣の対極として、あくまで地域の人々の信仰心の中で住民によって維持管理されている集会所のような施設だったのだ。お義母さんに教えてもらったのだが、お祖父さんは大工仕事が得意だったそうで、お堂の壁面にある地域世帯それぞれの位牌を祀る棚は、全部お祖父さんの手作りなのだそうだ。

そんなお堂の中で、あまり聞かない詩吟のようなお経を聞きながら、なんだか静かに感動してしまった。

 

法要は無事に終了。3歳の娘もお義父さんの隣で神妙に座ってお経を聞いており、子供達も皆さわぐこともなくいい子にしていてくれた。地域の世話役のおばさんがカルピスを出してくれる。

 

そこから、地域の共同墓地に移動してお墓参り。海からの風に卒塔婆がカタカタと揺れていた。

 

お祖母ちゃんの家に戻り、皆でお昼ごはん。

 

大量の塩水ウニとイカのおさしみ。新鮮そのもの。漁師さんからウニをキロ単位で買って剥いてもらうらしい。甘くてとろける。

そしてスーパーの仕出しのお寿司を取ってもらっていたのだが、これも東京だとお店で食べるレベルで新鮮でおいしい。さすが北海道だ。

 

その後、近所の親戚の家に挨拶に行ったりして、夕方に函館に戻る。遅くなりそうだったので、途中のレストランで夕飯を食べて帰る。

 

ホテルに戻り、子供達を風呂に入れる。娘がいとこたちと遊びたがっていたので、1時間くらい遊ばせている間に、お義父さんとビール。サッポロクラシックが美味い。

 

 

そんな感じの旅行二日目。